私は昭和10年生まれで、今年で90歳になる。子どものころは、蔵の前
に大きな倉庫があって、中で卓球や鬼ごっこをして遊んでいた。あの頃は、
どこの川にもいろいろな魚がいっぱいいて、前の小川ではシジミが取れ、ナ
マズも泳いでいた。あれは小学校の頃か中学生になってからか、夕方、今の
日大三高の信号近くに釣針にドジョウを刺したウナギの仕掛けをし、朝引き
上げに行くと自分の背丈と同じくらいの大ウナギが掛かっていたことがあっ
た。オヤジがさばいてくれた。あれがウナギを食った最初でとってもうまか
ったことを覚えている。あの頃は、ドジョウもウナギもいくらでもいた。夜
にドジョウ打ちに行ったこともある。田植えをしてまだ稲が伸び切る前、ま
だ田んぼの中が見える時期に明かりをつけて、ドジョウを誘い出し、棒の先
にモリを付けて、ドジョウを刺してとる。田んぼの中にもたまにウナギがい
ることがあったが、ウナギはすばしっこくてどうしても捕まらなかった。す
ぐに潜られた。でも、ドジョウはそんな苦労しなくても、竹かごを下流に置
いて、上流から追い込めば、いくらでも取れた。カイボリをすれば、ウナギ
もたいてい1匹ぐらいは捕れたものだ。取れたドジョウは、ドジョウ汁にし
て食べた。
